2008年08月13日

海外での交渉 (4)



海外の在住が長い人間が、現地での交渉において

来て間もない人より有利に行えるのは、語学力によるところと

思われがちだがそうではない。



現地における過去の事例の経験の蓄積によるところが大きい。



交渉相手の交渉妥結範囲と最低妥協可能ラインの推測が過去の体験の中から

類似したケースを引用することで、ある程度の正確性で可能だからである。



また過去の類似した事例からの引用だけでなく、現在の状況構造を把握するための

情報収集ネットワークのメンテナンスを日頃より行っていることもあるだろう。





常に意識しておくべき一番大事なことは

国内においても海外においても交渉相手にたいして

一緒に問題を解決するためのパートナーという姿勢・視点を

こちらがもって、相手の立場に立ったシュミレーションを反復して

繰り返すことで、着地点をさがしていくことだと思う。



これによってこそ、交渉の本来の目的である

双方のベネフィットの合計を最大化することができる。


投稿者 諸戸 : 13:54

2008年07月02日

海外での交渉 (3)

交渉に入る前に必要になるのは納得のいく論理性である。



ここでいう論理とは「働かざる者食うべからず」みたいな

一般的に大多数の人に納得してもらえる共通の論理のこと。



国ごとに習慣、風土、社会構造などが異なるので

その国の人に通用する論理にはどんなものがあるのかを理解しなければいけない。



論理的に納得感のあるものを提示して、そこでの十分な共感が得られれば

そこから先の利害の設計がしやすくなる。



例えばタイであれば、農業国・工業国であって、輸出による外貨の獲得に官民ともに

熱心なため、メーカーとの取引であれば・・・・・

「御社の製品を日本でプロモーションしますよ

日本で売れればそのことでタイの輸出も促進されます」

と、いうのは共感してもらいやすい論理の提示だ。



客観的であり、多くの人に納得してもらえる規範を論理とすることで

つぎのステップである交渉時に信頼関係をベースに進めることができるようになる。



提示する論理には提示した人間の行動が常に一対として視られる。

ゆえに、信頼してもらうためには提示した人間がその論理に従って行動していると思われなければいけない。

そして、その行動の結果として見せることのできる実績があればなおよい。

論理とそれに伴う行動と実績のパターンを数多く自分の中に持っていることは重要だ。





次回は、海外在住の長い人間の現地における交渉力について

書いてみたいと思う。


投稿者 諸戸 : 12:02

2008年06月27日

海外での交渉 (2)

海外において事業を行う際にも

国内同様、関係各社(者)との間での利害の設計は重要だ。



それらを進めていくために交渉は必要になってくる。



前回は、そこで情報の不足が起こす交渉相手に対しての推測の困難性について書いた。



現地でのネットワークを構築して、弱みとなっている情報の収集力を

引き上げていくのは当然のことだが、そうしていく途中でも

判断をしなければいけない場面はでてくる。

そうした際には、確約できるところでさきに、確約を取っておくことが予防線になる。



たとえば、メーカーからの製品の購入に際して、初回の取引での過度の価格交渉はお勧めできない。

理由は、対象としているモノの価格以外の条件の変更によって対象としているモノの価格は

変化しうるものであるからだ。

対象としているモノの価格を決める場合はその他の条件の決定が先である。



何か製品を輸入する際に製品価格を120USDから100USDに下げてもらっても

相手側は、梱包材を薄くする、塗装を安く仕上げるなどして製品に付帯する費用を

安くすることで対応してしまう。

梱包材を薄くされて、輸送途中に破損してしまっては元も子もない。

こうした場合には品質面や性能面での保証を先に取っておくことの方がいい。



情報の不足とは、判断に足る事実情報が十分に集められない状況である

そうした中では相手の開示している情報が、判断するうえで大きな影響力を持つ要素になる。

ゆえに、情報の不足する環境の中では交渉相手との間での互いの協力・信頼関係は欠かせない。


それがなければ、リスクの高さゆえに行動しない方が良いとの判断にもつながり

機会の損失が発生して双方にとって望ましくない結果になる。



もちろん、このように交渉相手の方が情報面で優位な状況の中での情報の開示は

海外での交渉術①で書いた交渉相手本来の持っている交渉妥結範囲はより狭くなり

最低妥協ラインはより上がるものになる。

しかし、それでも行動しないという機会損失を避けることが出来れば

一定のベネフィットの享受を双方ができることになるので初回においての

交渉の落とし所としては悪くはない。

交渉は一回で終わるものではないので、こうした取引事実が蓄積していくと

次回の交渉に臨む時の参照値になって、以降の精度を上げていくことができる。



ここまでで、海外での交渉は情報劣位の状況の中で

行われるものであることを書いた。



次回は、交渉に入る前の段階で必要条件になる

相手方が持っている論理への理解について書こうと思う。


投稿者 諸戸 : 15:40

2008年06月22日

海外での交渉 (1)

国内においても海外においても交渉の目的とは

双方のベネフィットの合計を最大化させるところにあるのは同じであると思う。

もし、双方がこうした前提の認識がなければデフォルトで存在するパイの利益の奪い合いになってしまう。

したがって、交渉のプロセスとはデフォルトのパイを

増加させるためのものでなければいけないと思う。



海外での交渉において、国内と一番違いがでるのは情報の収集力であろう。

相手と自分を比べた場合に、自分の方(日本人)が相手より

取り巻く環境に対しての情報収集力が劣ることがほとんどだ。



生活レベルでの情報の不足は、語学力の低さによって引き起こされることが多い。

しかし、事業レベルにおいては語学は代替えの手段が効く能力であるため通訳などを使えば解消する。

事業レベルにおいての情報の不足は、入って間もない社会環境の中で

ネットワークを十分に構築できていないことに起因する。



情報の不足は交渉相手の以下の2点の推測を困難にする。

・交渉妥結範囲 ⇒ このぐらいの幅の中で決めたいなぁ、という範囲

・最低妥協可能ライン ⇒ これ以上は譲れないなぁ、というライン



これがわらかないと、妥当な交渉の落とし所が見えてこない。



ではどうすれば、いいか?  次回に続く。


投稿者 諸戸 : 18:15